こんにちは、はるかです!
小学校の先生など、
子どもに関わる仕事の人たちは、
クラスに対応が難しい子がいて悩んでいませんか?
また、子育て中のパパママは、
子どもの言動に頭を悩ませていませんか?
この記事では、
•高いところから降りてこない子に対するアセスメント
•高いところから降りてこない子への手立て
について紹介したいと思います。
私は約10年間小学校の教員として勤務してきて
(特別支援学級の担任経験あり)、
奇声をあげる子や教室から飛び出してしまう子など、
さまざまな特性をもった子どもたちを担任し、笑顔にしてきました。
子どもたちの特性は人それぞれなので、
全ての子どもに同じ手立てが通じるとは限りませんが、
私のノウハウが困っている先生たちや
子育て中のパパママの手助けになれば幸いです。
※個人のプライバシーに配慮して書いています。
※先生たちへ
私の講じた手立てが全ての子どもに通じるとは限りません。
対応に困ったらまわりの先生たちに相談しましょう。
子育て中のパパママでも読めるように、
わかりやすい表現で書いています。
高いところから降りてこないEくん
私が特別支援学級の担任をしていた時、
自閉スペクトラム症をもっているEくんと出会いました。
彼は高いところに上ることが大好きでした。
教室の棚や窓枠などに上っては降りて来ません。
校庭では、ジャングルジムなどの遊具だけでなく、
校舎の屋根などに上って降りて来ませんでした。
教員だけでなく保護者も含めて大人の指示が全く通らずに、
みんな手を焼いていました。
アセスメント
不安が大きくこだわりが強くなっている?
ここからは、Eくんの行動に対して
私がどのように考えたのかを紹介します。
さまざまな特性をもった困った子どもたちに対して
正しくアセスメントをすることが大切です。
私の考え方が、
今皆さんが見ている子どもたちの参考になれば嬉しいです。
まずEくんに対して思ったことは、
高いところが好きなものの、
何かに追い立てられるように、
「そそくさと上っている場面が多いな」
と感じたことです。
「上らずにはいられない」といった感じでした。
これが自閉スペクトラム症に多い「こだわり」だとしたら、
そのこだわりに縛られているように感じました。
そして、その縛られている感じは、
「不安が大きいからなのではないかな」
と思いました。
経験上、不安が強くなればなるほどこだわりも強くなると思っていたので、
「高いところに上る」というこだわりを少しでも和らげるために
本人の不安を少しでも取り除くことが必要なのではないかと思いました。
高いところにいた方が楽しい?
2つ目に思ったことは、
「教室の中や自分の席にいるよりも、
高いところにいた方が楽しいと思っているのではないかな」
ということです。
先程の不安とも繋がりますが、
高いところにいた方が安心できるし、
高いところにいることが楽しいのかもしれないと思いました。
怒られて注目を浴びるのが嬉しくなってる?
3つ目は、
高いところにいると、
大人たちに怒られて注目を浴びるのが嬉しくなっているのではないか、
ということです。
Eくんは高いところに上ると
決まって大声で笑ったり
「ほら見て!」と大人にわざとこちらを向くように大きな声で呼びました。
そして大人たちは高いところに上っているEくんを
「危ないでしょ!」「何をやっているんだ!」
と怒ります。
そうするとEくんは嬉しそうに笑って、
高い棚の上でぴょんぴょんと跳ねます。
そしてまた怒られて…というのを繰り返していました。
彼は元々高いところが好きな上、怒られて注目を浴びたいようでした。
半年後に椅子に座れるようになった手立て
信頼関係を築く
「認める声掛け」
ここからは、そんなEくんが、私が担任して
半年後には高いところではなく
教室の椅子に座れるようになった手立てを紹介します。
まず、彼の不安を取り除き、
高いところに上るという強いこだわりを少しでも和らげるために、
信頼関係を築く必要があると思いました。
前の記事でも書きましたが、
信頼関係を築くために、
「認める声掛け」をしました。
これは、「○○しているね」など、
その子どもがしていることを実況中継するように声掛けをすることです。
これは自己存在感を高める声掛けになると思います。
ただ、1日の大半を高いところで過ごし、
全ての指示が通らないEくんの
「認める声掛け」はとても難しかったです…(笑)
「高いところに上ってるね」でも良かったですが、
後述するように、それは注目する声掛けになってしまいます。
唯一、給食が好きで、給食当番はがんばってやっていたので
「給食当番がんばっているね」などの声掛けはできました。
「褒める声掛け」
2つ目は、「褒める声掛け」です。
これは、できたことを褒める声掛けです。
自己有能感を高められると思います。
こちらも、全ての指示が通らないEくんへの声掛けは
難易度が高かったです。
「給食を完食できたね」など、小さなことでも
針の穴を通すように見つけて声掛けをしました。
また、後述のように、
下に降りてきた時に「降りられてえらいね!」と声を掛けました。
「下に降りて来た方が楽しい」
特性を利用したタブレットと自立課題
次の考え方として、
高いところにいた方が安心できる、楽しいと感じているEくんに
「下に降りて来た方が楽しい」
と思ってもらえるようにしようと思いました。
本人が楽しいと思えることを椅子に座ってできるようにしたいと思ったのです。
1つ目はタブレット端末です。
1人1台配付されているタブレット端末を、
「椅子に座っている間は見ていいよ」
という約束にしました。
タブレット端末はどんな子どもでも、
一度ハマるとずっと見てしまいますよね。
Eくんも、動きがあり音の出る映像やゲームが大好きでした。
タブレット端末を見始めると、
飽きるまでずっと座って見ていました。
ただ、基本的にタブレット端末は授業の一環で使う物です。
ずっと映像を見せたりゲームをやらせたりするのはいかがなものかと
私自身も思いましたし、教員同士でも悩みの種となりました。
しかし、Eくんが落ち着かないとクラスも落ち着かないと考えていましたし、
本人には段階的にできるようになってもらうとして、
まずは高いところから降りてきてもらうことが第一段階だと思っていました。
他の先生たちの許可ももらい、他の子どもたちにも説明しながら進めていきました。
また、自立課題を手作りして、
それを椅子に座ってやってもらいました。
Eくんは新しい物が大好きで、手先が器用で、
集中力は凄まじいものでした。
興味のある自立課題に熱心に取り組んでいました。
新しい物が好きな反面、飽きるのも早かったですが…
タブレット端末や自立課題を
「椅子に座って」という条件でやってもらいましたが、
最初は上手くいきませんでした。
大人の指示が全く通らないからです。
高いところにタブレット端末を持って行ってしまうこともありましたが、
粘り強く「椅子に座る」ように声を掛けました。
信頼関係を築く手立てと並行して行いました。
自立課題を手作りした際、
参考にした本はこちらです↓
リンク先で価格比較できます↓ |
下に降りて来ることを強化させる
危険な時以外は声掛けをしない
Eくんは高いところに上ることによって、
怒られて注目を浴びるのが嬉しくなっているようでした。
前の記事でも書きましたが、
上る → 怒られる → 嬉しい
という行動が強化されてしまっているので、
椅子に座る → 褒められる → 嬉しい
という風に強化したいと思いました。
「褒める声掛け」でも書きましたが、
椅子に座っている時などに
「えらいね」「座っているね」と声を掛け続けました。
また、正しくない行動には無反応をする必要があると感じました。
Eくんは、
怒られる(反応される)ことを嬉しいと感じているようで、
「高いところに上らないよ」と冷静に諭したとしても、
反応されて嬉しいようでした。
そこで極端ですが、
危険な時以外は声掛けをしないようにしました。
命の危険があるような高いところに上ろうとした時には毅然とした対応をしましたが、
それ以外は反応をしないようにしました。
これも教員間の悩みの種となりましたが、許可をもらって根気強く続けていきました。
手立てを半年以上毎日続けました
以上のような手立てを毎日半年くらい実行しました。
時々、「1回やってダメだったから」
「1週間やってダメだったからやめよう」
という人もいるのですが、
私の経験上、最低1ヶ月は続けないと効果はわかりません。
教室から飛び出していたKくんは1ヶ月でした。
そして、効果が目に見えるのは3ヶ月~半年後のことが多いです。
それまでは毎日毎日、大変でも地道に続けていくことが大切です。
Eくんの場合も半年後くらいになって、
少しずつ効果が現れ始めました。
高いところに上る頻度は少なくなり、
自分の席に座る時間が増えてきました。
1年後には、ほとんど高いところには上らず、
教員の指示も通って、
自分の席に座って学習することができるようになりました。
タブレット端末も、教員が指示した時間だけに取り組めるようになりました。
信頼関係を築くことが一番
この記事では、
•高いところから降りてこない子に対する考え方
•高いところから降りてこない子への手立て
について紹介してきました。
Eくんを担任して改めて思ったことは、
どんな特性をもった子どもでも、
信頼関係を築くことが一番大切だということです。
信頼関係を築くことを並行して行ったからこそ、
その他の手立ても有効になったのだと思います。
子どもの特性は人それぞれなので
全ての子どもに通じるわけではありませんが、
私が実践してきた考え方や手立てなどのノウハウが
先生たちや子育て中のパパママのお役に立てたら嬉しいです。
前述した、
自立課題を手作りした際に参考にした本です↓
リンク先で価格比較できます↓ |
教室を飛び出していた男の子への手立てです↓
獣のような眼をした男の子への手立てです↓
発達障害の子どもたちへの指導が参考になりました↓